それより森野、大丈夫…なわけないよね。あいつ、殴り合いなんて経験なさそうだし…。

なんであいつがあんな目に遭わなきゃなんないのよ。…わたしのせいか。


ごめん。ごめんね森野。

わたしと関わりがあるせいで、あの時変にタイミングが良かったせいで、森野が、森野が…。


「……」


お願い、森野。どうか無事でいて。






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「おら、降りろ」


10分程軽快に走った車は、緩やかにスピードを落とし停車。

到着するや否や、早く降りろと乱暴に背中を押される。


転びそうになるも両手が不自由な中、なんとか耐えた。そんな押さなくたって自ら降りるわ、こんな居心地の悪い車。


車を降り北栄高校の校内へ連行される。男四人に囲まれながら歩くのは、とてもじゃないけど落ち着かない。


そういえば運転手も一緒に降りてきたけど、この人も北栄の生徒?

制服は着てないし、免許はあるのかしら?ガラの悪い北栄の中では、インテリっぽい雰囲気でまともそうに見える。


「澤田は?」

「いつものとこだと」

「あいつ会議室好きだよなー」

「一番広いからな」

「何が会議だ。会議なんてしたこともねぇくせによ」

「ぶっ。確かにな」