「──!!」


やだ!森野は関係ないでしょ!

何もしないで、お願い…っ!!


声にならない声を上げ、顔を横に何度も振った。


何か言い合っていたかと思うと、森野が二人に向かい殴りかかっていく。


その様子を見ているうちに車は発車してしまった。


走り去る寸前に見えたのは、二人掛かりで暴行される森野─…。


堪えきれず涙がこぼれた。


「んな泣くなよ。言うこと聞けば何もしねーでやっからよ」


助手席の男が振り向きながらわたしに言う。


「──!」


こ、この人、確か菊池って人──!

わたしの写メを勝手に撮った奴じゃない!


「お前が目的っつったら目的だけど、メインは深瀬だからな。お前が無事じゃねぇと意味ねぇから、とりあえず大人しくしとけよ」


お、大人しくって、声も出せない、両側から挟まれて身動きもとれない、こんな状況でどうやって騒げってのよ!あほか!


聞く限りじゃわたし人質っぽいけど、わたしを人質にしたところで深瀬くんが来るとは思えませんが!


ていうかどこに向かう気なの?!それが不安で一番怖くて、でも男だらけの車内で何かされないかも怖すぎて、体の震えが止まらない。