「勘違いだくそ野郎!馬鹿じゃねぇのか!」

「違くて!」

「触んじゃねぇ!」


仰け反るダーリンの両腕をぎゅっと掴み、声を張り上げる。


真剣に言えば、きっと伝わるはず。


そう思い、声のトーンを下げ、落ち着いてダーリンを見つめた。


「わたし以外の子とわたしより近づいたりしないで。ダーリンと一番話したり一番一緒にいたりするのは、わたしにして」


普段とは別の顔。


無駄にテンションが高くて、おちゃらけている逢川咲良じゃない顔で訴えた。


浮気の心配なんてしたくない。照れたり戸惑ったり、顔を赤らめる少年のようなあなたを、わたし以外の人に知られたくない。


そんな風に思うわたしに、ダーリンは少したじろいでいるよう。


「…なんでお前にんなこと言われなきゃなんねぇんだよ」

「なんでって、わたしダーリンのこと好きなんだよ?やきもちやいちゃうじゃないの」

「は、はあ?やきもち?」

「わたしが妬いたら恐ろしいからね。好きすぎておかしくなって、一生ダーリンのそばから離れないかも」

「本物のストーカーになるつもりかよ」

「どう言われようが結構。わたしをダーリンの中で一番にして。できることなら、わたしだけにしてほしいよ」


ここまで近づけたのに、誰にも邪魔されたくない。

もっと近づける気がするの。もっと恋ができる気がするの。


もっと、深瀬くんを好きになれる気がするの。


「…うるっせーな。お前の言うことなんか誰が聞くか」