「俺を付け回して何が楽しいんだよ。お前、マゾか?」

「へ?どっちかっていうと、その場合サドじゃない?」

「…どうでもいいが、お前なんか俺のこと言いふらしてんじゃねぇだろうな」

「え?」


もう食べ終えたらしいお弁当をゴミ袋に入れながら、ダーリンは眉間にシワを寄せた。


食べるの早っ!わたしも食べなきゃ…って、いきなり何?どういう意味?


「なんだか今日、やたら見られてる気がする。女とよく目が合う。んで、目が合うと甲高い声で叫ばれる。すっげぇイラつく。別に普段は気にしねぇが、今日はマジで多すぎる。原因はお前ぐらいしか考えらんねぇ」

「…。」


…う~ん。


ダーリンは今、大変おモテになっていることに気づいていないのね。

その甲高い声は好意の叫びだと理解していらっしゃらない。


なぜか意味もなく無駄に騒がれて、イライラしてるってとこか。


まぁそりゃそうか。


噂になっていることをダーリンに教える人なんていないもんね。


ていうことは、ダーリンを見て騒いでる女子はまだ話しかけたりはしてないってことかな?そうだといいな…。


「お前、なんか知ってんのか?」

「やだ、睨まないで!知らないよ!」


知らぬが仏!もしダーリンに教えちゃったら、自ら浮気の可能性を広げることになっちゃう!

ごめんなさいダーリン!ずるいわたしを許して!