浮気の心配があるなら、深瀬くんを追い回してる意味がなくなっちゃう。


なんでこのタイミングなの。

今ようやっと距離が縮んできてるんだよ。

恋人っぽいことだってしてるつもりだし、深瀬くんの友達とも知り合いになったんだから。


せっかくここまで頑張ったのに、今から恋する相手をチェンジなんてしたくない。


…でも一番の理由は、もっと違うところにある気がしてる。

はっきりわからないけれど、もっと違う大きな理由が、自分の中にある気がする。


何なんだろう、この気持ち…。


「お前ら何やってんだ!もう授業始まるってのに!」

「やだ!もう時間?!」

「ごめんなさい先生!」

「今戻りまーす!」

「深瀬くん、もっと見たかったー!」


先生が来たことで、教室の周りにいた女子達が次々とはけていく。


「やっと教室入れるね」

「急がないと!」


わたし達も慌てながら教室に入った。


「──!」


途端、ダーリンと一瞬目が合った。


それと同時に、わたしの胸はドキッと反応。


髪を下ろしたままの彼を教室で見ることが、こんなにも新鮮に思えるなんて。


普段の荒々しく凶暴そうな雰囲気に比べ、髪型が違うだけで印象が柔らかくなる。

このギャップは相当なもの。