「だと思うけどね!でも噂はどうしようね」

「ほっといていいんじゃない?受け流しといて、あまりにも事実とかけ離れてるひどいのとか出てきたら否定しようよ」

「咲良が片想い中なんだもんね。この状況じゃそれが妥当かな」

「片想いなのに付き合ってるとか、咲良の立場からしたら辛いかもしれないけど、そんなに好きなら頑張るんだよ」

「わたし達は咲良の味方なんだからね」

「茉希!春奈ー!」

「わっ!鬱陶しい!」

「抱きつかないでよー!」



──ありがとう二人とも。


すごく、すごく感謝してる。


友達の存在って、本当にありがたい。


…それなのに。


それなのにわたしは、とんでもなく卑怯で汚い。


やっぱり嘘偽りだよね。

恋がしたくて浮気の心配がないという理由だけで、深瀬くんに片想い中のふりをしてるって、正直に言わないんだもの。


でもどうしてもこれは言えない。友達にだってなんだって、一生わたしは口にしない。


口にした途端、恋の魔法が解けてしまうから。

これから本当に好きになるかもしれないチャンスを、消してしまうから。


ただのわがままなのはわかってる。


だけど罪人になる前にもう少し、わたしに恋する気持ちを感じさせてください。


ほんの少しだけだったとしても、今、彼との心の距離が短くなってきた気がするから。