「いらねぇのか?それならもう二度と…」

「いりますいります!!もちろんいります!!」


慌ててヘルメットを受け取り頭に被せた逢川は、急いで俺の後ろに乗る。

エンジンをつけると、控えめに俺の腰に手を回した。


「死にてぇのかよ!」

「わっ」


ぐっと手を引き、体が熱くなっていることを誤魔化そうと、すぐに走り出す。

背中に逢川の体温を感じ、顔まで無駄に火照る。


いつもの空き地に到着してもまだ顔が赤い気がして、ヘルメットを外した後は横を向くようにしていた。


「ダーリン。朝は髪、立ててないんだね」


は?こいつ、俺の髪型なんか気にしてたのか。

それよりなんだっていつも変な呼び方すんだ。


「ヘルメットで潰れるだろうが。つーかそのだありんてのやめろ。俺の名前はそんなヘタレな…」

「なるほど。え、帰りは?そういえば髪立てたまま普通に被ってたよね」

「帰るだけだからな。いいか?俺の名前は深瀬圭悟…」

「じゃ、いつもの髪型はどうしてるの?」

「っだーっ!!学校で立てんだよ!文句あっか!?」

「ないない。なんか髪型にポリシーとかあるのかな~?と思っただけ」

「あ?!ポリシー?!寝癖とヘルメットの跡を誤魔化す為に決まってんだろ!」