遅刻すんじゃね?もう行ったのか?それとも、今日は休むのか?

ちっ、せっかく迎えにきてやったってのに、とんだ無駄足じゃねぇか。


迎えにいくなんてガラにもねぇことするもんじゃねぇな。約束したわけじゃねぇし。

つーか逢川のことを散々言っておきながら、俺もストーカーみてーじゃねぇか。


…ばっかみてぇ。さっさと行…


「行ってきます!」


──。


元気な声と同時に、家のドアから出てくる逢川が目に入った。

その時、心が軽くなったような気がした。


逢川は俺に気づいていない。


「早くしろよ。遅刻するだろうが」

「─え」

「お前いつもこんな時間に出んのか?もう行っちまったかと思って先行くとこだったぞ」

「…だ、ダーリン?」

「だから早くしろ。行かねーのか?」


何度も瞬きをしながら俺を見つめる逢川。

相当驚いたんだろうな。結構なアホ面で吹き出しそうになる。


「い、行くけど…。もしかして、わたしを迎えにきてくれたの?」