「…それはごくごく一部の人であってね、世間一般ではお話してもいい場所なのよ」

「うるっせぇな!いいからとっとと降りろ!」

「やだ!離れたくないーっ!!」

「ねぇ、もしかして咲良?」

「─お母さん!」


─はあ?!


母ちゃん?!


声がした方に顔を向けると、すぐ横で逢川の母親らしきおばさんが微笑んでいた。


「お友達?それとも彼氏?」

「かっ…!」


違う!と否定をしたかったものの、予想外の言葉に中々口が動かず、うろたえている間に逢川はバイクから降りた。

そしてヘルメットを俺に渡す。


「今日はほんとにありがとう!また学校でね!バイバイ深瀬くん!」

「は?!…」


これでもかってくらいの造り笑顔を残し、颯爽と去っていく逢川。