「もたもたしてねぇで早くしろよ!」

「うん。って今更だけど、ダーリンは免許持ってるんだよね?」

「当たり前だ!」

「ですよね~!赤城くん達が無免許とか言ってたからまさかと思って」


やけに時間がかかると思っていたら、そんなこと考えてたのかよこいつは!


「あれは二年前の話だ!あいつらだって今は免許持ってっからな!」

「あ、そうなんだ。よし、お待たせしました!」


すでにシートに乗っていた俺の後ろに勢い良く乗り込む逢川。


ニケツが久しぶり、基、このバイクに誰かを乗せるのが初めてだった俺は、どうしようもなく違和感がしてならなかった。


「ちゃんと掴まれよ!」

「──」


エンジンをつけ声を張り上げるも、何の反応もない。


こいつ、死にてぇのかよ。


「掴まれっつってんだろ!」


逢川の手を取り、自分の腰に巻き付ける。


──う゛。

 
な、なんだこの感覚は。

金沢らとニケツした時とは全く違う。


なぜか体が火照っていく。


ぎこちなくバイクを発進させると、逢川は更に俺にしがみつく。


う゛。背中がやたら熱く感じる。


逢川の家の近くのコンビニに着くまで、俺の意識は運転よりも背中に集中していた。


そんなに距離はなかったはずなのに、すげぇ長かった気がする。