「そんなんただのこじつけだろ?逢川だから乗せる気になったんだろうが」


あっ、あほか!そんなんじゃねぇ!変なこと言うな!


「──っ、さっきから何なんだよ!うぜぇんだよ!違うって言ってんだろ!おい!行くぞ!お前らついてくんなよ!」

「あっ!待ってダーリン!」

「素直になれよ深瀬!」

「てめー咲良にひでぇこと言ったら許さねぇからな!」

「みんなばいばい!またね!」

「深瀬!そのまま拉致って襲うんじゃねぇぞ!」

「ぶっ!!誰がだよボケ!!」


ありえねぇ緑川!!てめぇまでとち狂ってんじゃねぇよ!!


「うおー!ありえねぇ!ふざけたこと言ってんじゃねぇぞ樹!」

「だっ、ダーリン、いいから行こ!」


なぜか金沢まで怒りだしたところで、逢川が俺の腕を引く。


「触んじゃねぇ!」

「はいはい。嫌なら早く行きましょうね~」

「離せ!」

「わっ、待って!」


逢川の腕を振り払い、バイクを置いている空き地に向かう。到着しすぐさま、バイクに被せているカバーを外した。


「わー!やっぱり大きい!かっこいい!」

「おら」

「ん?」


少し興奮気味の逢川にヘルメットを差し出す。


ほぼ新品に近いヘルメット。このバイクを買った当時は、これを誰かに使わせるなんて思いもしなかった。


それをまさかストーカー女に貸すことになろうとは…って、メット被るのにどんだけ時間かかんだよ!