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放課後になるまで、わたしは極力深瀬くんのことを考えるようにしていた。

気分はすでに恋する乙女。

今日も深瀬くんに近づく人は誰もいなかった。浮気とは無縁の世界にいるに違いない。

うんうん。わたしの恋の相手は深瀬くんしかいないよ。


みんなが恋バナで盛り上がった時に言ってしまいたかったけど、本当に深瀬くんを好きになってから打ち明けることにした。

それまではわたしの胸の内に秘めておくんだ。きっとみんなとの恋の温度差は、かなりあるだろうから。


昨日のようにみんなに別れを告げ、またわたしは深瀬くんをストーキング。


でもバイクに乗られたらおしまいだから、学校を出たらすぐに声をかけなきゃ。


深瀬くんが門を出て周りに生徒がいなくなった瞬間、わたしは駆け寄った。


「ダーリン、一緒に帰ろう!」


方向は全然違うけどね!


「……」


ありゃ?


完全に無視されております。こちらに見向きもしません。