「ありえんのかよ、そんなこと」

「あっ、あるある!余裕であるよ!」


余裕で?ねぇだろ。それとも、俺が世間知らずなだけなのか?


…つーか。


「だからって、なんでもできんのか?」

「なんでも?!ん~、金銭的な部分は正直辛いけど、ダーリンの為なら頑張れちゃうかも!」

「金じゃねぇよ。そうじゃなくて…」

「お金じゃない?じゃあ何?基本ダーリンの為なら、わたしにできることはなんでもするよ!あ、好きなのをやめろとかも無理だからね!」

「…なんでだよ」

「えええ?好きだからって、今し方言ったばかりじゃないですか!何度言えばわかるの?ダーリンが好きだから、わたしはなんでもできる気がするの!」


好きだから?人を好きになると、そんな風に思えるもんなのか?すげぇ感情だな。


「…どんな目に遭っても、そんなことが言えんのかよ」

「もちろん!」


─即答かよ。


それは嘘かもしれない。でもこの時の俺は昨日の今日だからか、逢川の言葉を信じられる気がした。


「…」

「…ダーリン?突然どうしたの?ていうかそろそろこっち向いてよ…」

「お前の家、どこだ?」

「へ?」