…ありえねぇだろ。まさかここまで汚ぇとは。


だけど今俺が行ったら、また助けただの何だの言って、ストーカーを続けるかもしれねぇ。


つーか逢川、俺と関わりねぇって言えばいいだろうが。

あいつらに言ったところで無駄か。


それにしても、こうなった原因の俺を罵りもしねぇのか?心の中じゃ相当恨んでんだろ?


「声出しゃ、わかってるだろ?」


くそ、煙草の火が逢川の顔に近づいていく。


あいつらはどこ行きやがったんだよ!!あんだけ逢川を心配してたくせに、金沢すら来ねぇのか?!


「早く終わらせてやっから。上半身だけで充分だろ」

「やべー、ヤりたくなる」

「ばーか、抑えろ」

「事を大きくしない為にやってんのに、意味なくなるっつーの」


逢川の頬に涙が伝う。


その顔とクズ共の会話に、耐えきれず踏み込もうとした、その時──。


「咲良!!」


─この、声は。


「か、金沢くん…!」


息を切らして逢川に駆け寄る金沢。


やっぱ逢川を探してたんじゃねぇか。どこ行ってたんだよ馬鹿野郎。


間に合わなかったらしばくとこだった。命拾いしたな、金沢。


なんて、なぜか俺は少し安堵に似た感情を抱く。