─勉強なんて好きなわけないじゃん。

お父さんに殴られた後のお母さんと、二人きりでいるのがきついだけ。


わたしが心配するとお母さんは余計傷つく。だから気にしないふりをするしかない。

出来る限りいい子で迷惑をかけない、理想の娘を演じることが、この家の中では最良の選択。


どんなに辛くてしんどくても親は変えられないし、悲しいことにわたし一人で生きていく術もない。


バイトをしようにも、前に一度友達と遊んで帰りが遅くなった時、帰ったらお母さんが倒れていたことがあった。

もちろん原因はお父さん。


それからお父さんが帰る時間の前にはわたしも家にいるようにした。


わたしがいればお父さんはそこまでお母さんにひどいことをしない。

たまにわたしも一緒に殴られたりもするけど。


そんなこんなでバイトなんてできやしない。友達と遊ぶことさえ、わたしには不可能に近い。


高校を卒業するまでと、今を耐えしのぐ。


卒業したら就職するんだ。一人で暮らすんだ。


誰もわたしを知らない所で、何にも縛られず自分の好きなように自由に生きるの。


それがわたしの夢。