いらないのは俺。


生きている価値がないのは、

生きている意味がないのは、


俺なんだよ。



「…くそっ!!」



壁を横向きで殴りつけるも衝撃や音は吸収され、ただ手が痛くなっただけだった。


平常心を保とうとする自我が、発狂しそうになる精神を必死に押さえつける。


少しでも気を抜くと暴走しちまいそうだ。


大きく息を吸い込み、乱れる呼吸をどうにか整える。



生きている価値のない自分が、生きている意味。


死なない意味。


それは滅ぼすことのできないほどの罪を、少しでも償うこと。


他には、今の俺には考えられなかった。


狂いそうになりながら、強く刻みつけ心に決める。


俺が壊したその代償は、あの人の望みをできる限り叶えることだ。


問題を起こさず高校を卒業し、一人で生きていく。


二度と、あの人と会わない為に。