一人で暮らす部屋。

自分だけの部屋。


必要最低限の物しかないこの空間。



「──」



無駄に広いその一室に一人でいると、気が、狂いそうになる。

呼吸は浅くなり、息苦しく感じる。


今にも吐きそうで吐けず、全身から変な汗が噴き出す。

ポケットから煙草を取り出すもうまく火がつけられず、ぐしゃっと握りしめ床に投げつけた。

 
更に呼吸は荒くなる。


…あの人の声が耳に残る。頭から離れない。


『赤の他人の汚い犯罪者』


──本当に、その通りだ。


迷惑ばっかかけて、犯罪じみたことを繰り返して、そんな俺の心配なんか死ぬ間際にしてんじゃねぇよ。


なんで俺じゃねぇんだよ。


なんで死ぬのが俺じゃねぇんだよ。


俺が死ねばいい話じゃねぇか。


俺がいなくなれば、すべてはうまくいっていたはずだ。