……はぁ。今日は念入りに頭洗わなきゃ。

汚い。浮気する人は大っ嫌い。


「──。」


その前に、お父さんがあんなに機嫌がいいってことは…!


「お母さん!」


リビングへ急ぐと、床に座り込んでいるお母さんが目に入る。


ああ、やっぱり…。


「…咲良、お帰り」

「ただいま…」


力なく笑うお母さんの頬は大きく腫れていた。

いくら手で押さえようと、それは隠しきれないほど。

腕さえも、痛々しい痣ができている。


「今日はいつもより遅かったね。友達と遊んできたの?」

「うん。少しね」

「それでも勉強も頑張って、咲良は偉いね。お母さんの自慢の娘」


…お母さんの為でしょ。


わたしが原因で、お母さんがお父さんに打たれないように。

お母さんがお父さんに殺されないように。


今回はお父さんの浮気に口を出したせいなんだろうけど。