もう二度と、この人は俺に会いたくねぇんだろう。


「あなたもわたしと顔を合わせたくないでしょうし、いいわね?」


やっぱり。

『あなたも』ってことは、自分もってことだろ。


「…なら今すぐそうしろよ」

「もう準備はできているわ。庄司さん、案内して」

「かしこまりました。圭悟様、ご案内いたします」

「…」


部屋のドアを開け、俺を促す庄司。なのに、俺の足は動かない。


どんだけ早ぇんだよ。…そんなに俺が嫌なのか。

顔も向けねぇくらいだもんな。


もう会うこともねぇっつーのに、少しでも目を合わせろよ…


「圭悟様?」


──っ。


「うるせぇな!行くぞ!」


なに考えてんだ俺。

なに名残惜しそうにしてんだよ。


ばっかみてぇ。ちげぇ、完全に馬鹿だ。


ちくしょう!!


「高校を卒業したら好きに生きなさい。未成年のうちはわたしの監視下になるけど、成人したら一切関与はしないから」