久しぶりに会った母親が、これほどまでに悪い意味で変わっているなんて。


言い表すことができないくらいに恐ろしい現実だ。


「わたし一人じゃ、あなたのことを見きれない」


…前からこう言われる日が来ることを、想像はしていた。


そのくせに鋭く胸を突かれたような感覚に陥る。


─痛い。


動揺していることを顔に出さずにいることで精一杯だった。


「出ていってもなにも、元からたいして帰ってきてねぇじゃねぇか」


たった一言なのに、声が上擦りそうになる。


拳をぎゅっと握りしめる。


「…そうね」

「なら別に…」

「あなたのことを、あの人は死ぬ間際まで心配してた。わたしのことより、あなたのことを気にかけて死んでいった。でもわたしにはあなたの面倒を見ることはできない。わたし一人じゃ、何にもできないの」

「──っ」


言いながら、眉一つ動かさないくせに、彼女の目から一筋の涙が流れていた。