車が横を通り過ぎる瞬間、後頭部に何か固い物で殴られたようなひどく強い衝撃を受け、前に吹き飛ぶように倒れ込んだ。


何が起こったのか一瞬わからず、ただ熱い痛みが頭を包む。



──あいつらか。


最近よくケンカして、俺を目の敵にしていた連中。


一番先にそいつらが浮かんだ。


「──っ」


言葉にできないほどの痛みと、ぼやける脳内。朦朧とする意識の中、なんとか起き上がろうと手に力を入れるも、それは失敗に終わる。


こりゃ確実に金属バットだ。くそ、脳震とうおこしてやがる。

骨まではイッてねぇだろうが、このままやつらが来たらやべぇな……。



「深瀬!!」

「……金沢…」


細い視界に飛び込んできたのは、暗闇に映える黄色い頭。こんな馬鹿な色の頭してんのは、金沢しかいねぇ。


「どうしたんだよ!大丈夫か?!良二!樹!こっちだ!!早く来い!!」

「深瀬!ここにいたのか!」

「交番にいねぇと思ったら、誰にやられたんだ?!この間のやつらか?!」

「おい、立てねぇのか?!」