「今日で何度目だと思ってるの?学校から呼び出される度に、恥ずかしくて顔から火が出そうだよ。下げたくもない頭下げて、先生には嫌みを言われて、もうやってらんない」


…確かにそうだよな。


俺のせいで、すげぇ迷惑かけちまった。嫌な思いばかりさせちまった。


しっかり謝んねぇと…。


「わたしのプライドも深瀬家のメンツもボロボロだよ。本当にあの子、学力が高かったの?」


──学力?


なんの話だ?


「落ち着いて絢香。それは何度も確認したから間違いないんだ。圭悟の学力は確かに並外れていたんだ」

「だからうちの養子にしたっていうのに、あそこまで低レベルの人間になったら意味がないじゃない!あんなんじゃ深瀬家を継がせられない!学力以前の問題よ!敢えて公立の学校にしたのが間違いだったんだわ!」


──。


「俺らの育て方が悪かったんだ。でも大丈夫だよ。圭悟は優しい子だ。今は反抗期なだけだ。根は腐っちゃいないよ」

「わたし達の育て方は間違ってない!ちゃんと深瀬家の後継者として相応しい人間になるように育ててきたじゃない!それにどんな風に育てたとしても、やっぱり施設にいた子はまともに育たないわよ!いくら賢いからって、養子になんかしなきゃ良かった…っ!」

……。


……。


「絢香、やめなさい。圭悟を悪く言う分、自分が惨めになるだけだってわからないか?」

「そうだよね、わたしに子供ができないからいけないんだよね!わかってる!わかってるよ!でも吐き出さなきゃ頭がおかしくなりそうなんだよ!後継者の為とはいえ、学力が高いからって養子にするなんて間違いだった!」