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「なんで謝んだよ!どう考えたって悪いのはバット持ってケンカ売ってきたあいつらじゃねぇか!」


生徒指導のおっさんに、何度目かわからないほど学校に呼び出される母親。


俺が悪くても悪くなくても、毎度ひたすら謝り続ける。


その帰りの車中で俺がキレるのも、毎度のことだった。


「圭悟。どっちが悪いとかじゃないでしょ?わたしが謝るのは、圭悟が問題を起こして先生に迷惑をかけたから。先生が止めに入らなきゃ、どうなっていたかわからないでしょ?」

「ありがた迷惑なんだよ!あんな奴ら、道具なんか持ってたって何人いたって勝てんだよ!」

「そういうことじゃないでしょ。そうじゃなくて…」

「あいつらムカついてしゃーねぇのに邪魔されて、殴り損ねただけじゃねぇか!くそ!背中やられたってのに!あんなもんじゃ殴り足りねぇ!」


ポケットから煙草を取り出し、乱暴に火を付ける。


そんな俺を、何とも言えないような顔で母親は見つめていた。


「圭悟…。どう言ったら伝わるの?どうしたらわかってくれるの?どうやったら、前の圭悟に戻ってくれるの?…わたし、もうわかんない…」

「はあ?」

「なんでこんな悪い子になっちゃったの?圭悟に何かあったらって、お母さん、いつも心配でしょうがないのに…」