「深瀬~。おめぇ調子にのりすぎだぞ。手ぇ出しすぎだ。俺の仲間にまでよくもやってくれたな」


校舎裏で無駄にキツい煙草をふかしていたら、三年の不良グループがにやけながらやってきた。

何がおもしれぇんだよ、気色わりぃ。


「知らねぇよ。弱カスのことなんか」

「マジで生意気だな~。この状態でイキがるなんて、ただの馬鹿だろ」

「本当は怖くて逃げてぇんじゃねぇの?」


汚い笑い声が耳につく。


めんどくせぇなこいつら。

リアルにわかんねぇんだよ。んないちいちケンカの相手の顔なんか覚えてらんねぇっつーの。


「つーか一人相手に何人引き連れてきてんだよチキン野郎」

「イキがってられんのも今のうちだ。これ見ても生意気な口叩けんのか?」


そう言ったヤツの足元から、カランと軽い音がする。


…馬鹿かこいつら。


学年も下で単独丸腰の俺に、五人がかりで金属バット?


クソみてぇな奴らだな。


…ストレスのやり場にはちょうどいい。


くわえていた煙草を捨て、きつく踏みつけた。


「ここ、ガッコですけど~?頭悪いんですか~?」

「関係ねぇよ。それに先公は今会議中だからな」

「…んなもん、あったところでお前らカスには使いこなせねぇだろ。バットがかわいそうで同情もんだな」

「─この、クソガキ…っ」