「な、なにそれ」


いきなりどうしたの?なんの話?


ていうか、金沢くんが軽く触れただけであんなに怒っていた親の話を、どうしてわたしに自分から話し出すの?


無性に動揺してしまう。


「血が繋がってねぇんだよ。養子ってやつだ」

「──」



『養子』。



聞き慣れない言葉。


テレビの中からしか、聞いたことがない。


そんなに珍しいことでもないはずなのに、なぜこれほどまでに心に重く響くのだろう。


──だから深瀬くんに『親の話は禁句』だって、三人が言ってたの?


「ま、今じゃ母親しかいねぇけどな。母親っつっても、他人と変わんねぇ。顔も見たくねぇ」

「…どうして?」


聞いていい内容なのかわからないけれど、無意識のうちに勝手に口が動いていた。


深瀬くん、一人暮らしだって聞いてた。家庭の事情かなにかだとは思っていたけど、それも関係してるのかな。


「お前んちも狂ってんだろうけど、俺だって同じように狂ってる。おかしいのは、お前だけじゃねぇ」

「…ダーリン…」