「なんだ咲良。どけろ」

「お、お父さん、どこか出かけるんじゃないの?」

「さ、咲良…」

「…どけ」

「時間とか大丈夫?もう行った方が…」

「どけって言ってんだろ!!!」

「あなた!!やめてっ──!!」

「──!!」




─────



──ああ。


お母さんのことが言えないな。


わたしも馬鹿だよ。親子だから仕方ないか。

変なところ、遺伝しちゃったんだね。



──なんでこの人がお父さんなんだろう。

なんでこの人がお母さんなんだろう。


なんでわたしはこの二人の子供なんだろう。



できることならお父さんを殺してやりたい。


お母さんなんか勝手に死ねばいいのに。



こんなに馬鹿な二人の血で生きている自分。


生きてる意味なんてあるの?
生きていく意味なんてあるの?


人類が消えてしまわないサイクルの為だけに生まれてきたのなら、わたしが生きる意味なんて皆無に等しい。


生きている意味を、自分自身が見いだせないのだから。