みんなから遠ざかるよう、ダーリンの腕を引く。


「触んじゃねぇ!」

「はいはい。嫌なら早く行きましょうね~」

「離せ!」

「わっ、待って!」


勢いよく腕を振り払い、ダーリンは大股でどんどん先を行く。


小走りでひたすら追いかけていき、軽く息を切らしそうになると、手入れがされていない小さな空き地が。そこにあるシルバーのカバーがされた大きな物体。


ダーリンが慣れた手付きでそのカバーを外すと、あの見覚えのあるバイクが顔を出した。


「わー!やっぱり大きい!かっこいい!」


バイクをこれほどまでに身近で見たことのないわたしは、興奮気味に手を合わせた。


「おら」

「ん?」


差し出されたのはヘルメット。

そっか、これ被らないと乗れないよね。


…ちゃんと準備してくれたんだ。


また嬉しくなり、にやけながらヘルメットを被る。初めてのヘルメットに手こずりながら装着していたら、ダーリンはしっかりとヘルメットを着けバイクに乗っていた。


ダーリン、ヘルメット姿似合うな~。わたしはどうなんだろう。変質者のようになっていないだろうか。