「う、誰よ胡椒なんて持ち歩いてんの」

「赤城ー。お前そんな物騒なもん持ち歩いてんのか?」

「最高の武器じゃねぇか。っておい。俺が持ってるわけねぇだろ」

「ぶっ!その前に胡椒で泣くかっつーの!胡椒はくしゃみだろ」

「めっ、目に入ったの!」

「ははは!やっぱ咲良はおもしれぇ!」


みんなが笑うから、わたしの汗、じゃない、涙も渇いていく。


深瀬くんの友達、いい人だなぁ。


だからきっと、深瀬くんもいい人だよね?


「咲良、お前深瀬の女じゃないって言ったんだろ?」

「え?うん。わたしがただ好きで追い回してるだけって言ったの」

「「「─はあ?」」」

「皆にはああ言ったけど、本当はわたしの完全な片想いなんだ。だから深瀬くんの女じゃないの。ごめんね?」


周りから固めようとか思ったけど、そんなこと言ってられないよね。助けてもらったんだから、嘘をつき続けるなんて言語道断!


「マジか!なら俺にしろって!ぶっ!!」


金沢くんの言葉に即座に緑川くんがベシッとツッコミを入れる。