今日は珍しく6人で学校から家に帰ることになった。

「はーー!もうすぐ夏休みだねー!今年は、何する?」

いつものように有紗が道中みんなに提案してきた。

「そーだなー……することと言っても大会の練習とか……」

 一稀が有紗の提案に対して真剣に考えてくれた。一稀は、こういうところも長所と 呼べる由縁だろう。

「夏休みの思い出が、大会だけだと寂しいよねー」

「そうだね。何か一つでも思いでを残さなきゃね」

愛彩と蒼生も、話題に加わり始めた。そんなんで、帰り道は夏休みの話題になってしまった。すると、考えてる4人の横で瑠花がある一枚の張り紙を見つけた。そこには
 
「(夏祭り?!)ねえ、春君これ……」

「ん?……夏祭り?こんなのあったっけ?とりあえず…おーいちょっと見てくれ」

春が呼ぶと4人が駆け寄ってきた。

「えーなになに?………夏祭り?!」

「夏祭りかー………」

 有紗と瑠花がそれぞれ言葉を漏らした。すると後ろにいた蒼生と一稀が
 
 「へえー夏祭りかー、なんだか懐かしいね。いいんじゃない?夏休みの思い出とし  てはピッタリだね」

 「んーじゃー決まりだな!どうする、それぞれ2人ずつで行動しよっか。」

その瞬間、3人の女子の心が一瞬にして跳ね上がった。

 「一稀と2人きりで……?!」 

 「うそ……春君と2人で……?!」  

 「蒼生君と……いっしょに……」

               「「「夏祭りー!?!?」」」

もう女子3人は、動揺を隠しきれずに下をうつむいていた。それもそのはず、好きな人と学校以外で行動するなんて滅多にない。おまけに2人きりで。これは、もう2度とないくらいのことだろう。
           
            「「「はっっっっ?!」」」

ようやく正気を取り戻した3人は、すぐさまお互いの彼を見始めた。

「いいよ。2人ともちゃんと、有紗と愛彩を守ってよね?」

「言われなくても、もちろん。春こそ瑠花を頼むよ」

「まかせとけって」

なぜか、男子3人は納得し合っていた。その様子を見て女子3人はさらに心臓の
バクバクが急速に上がっていった。

「(うわーー本当に決まっちゃったよ……当日緊張で倒れるかも……)」

「(春君……今まかせとけって……すごくうれしい……)」

「(どうしよう……蒼生君と2人きりになったことなんてないのに……)」


 「…さ、……りさ、有紗!」   「…か、瑠花?」   「……さ、有紗」
           
           「「「えっっ?!」」」

ほぼ同時に男子3人が声をかけてきて、それにほぼ同時に返事をする女子3人。
 
 「どうしたの?3人そろって顔赤くして動揺しちゃって…」

 「べっ別に……」  「なんでもない!なんでもない…」   「ちょっと……ね…」

それぞれ曖昧な返答をするが、一稀・春・蒼生は特に気つ”いていない様子だ。
「それじゃ、夕方6時30分に公園に集合!いいね?」
一稀がそう言うと他のみんなはうなずいた。その後、それぞれ解散し家に帰った。

帰宅後。女子3人はそれぞれ自分の部屋にいた。さっきの出来事を自分なりに振り返っていた。

「一稀と2人きり……あーー!想像すると、どうしても一稀の顔しか出てこない!……絶対に喜ぶ顔してくれるよね……どうかな……」


「春君……私の事どう思っているのかな……『好きだよ♡』なんて言ってくれたら……うわっ!?私なに想像してるの?!……まだ付き合ってもないのに……その前に……」


「蒼生君と2人か……いつもなら有紗ちゃんや瑠花ちゃんがいるけど……その日は私だけ  かー。どうしよう…焦っちゃって蒼生君に迷惑かけないかな……それより……」


3人が同じことを考えてる中、1つだけ重なった言葉があった。

          「「「好きって……言えるかな…」」」

夏祭りまであと1週間。女子3人は、どのようにしてこの機会を過ごすのか。果たして、それぞれが
自分の思いを伝えられるのか。