叔母上に忠言されたことが気に掛かり訊ねる。

「はい、承知いたしました」

「叔母上も一緒だ。楽団をしながら旅をする」

「楽しそうですね。色んな人とお話もできそうですね」

あっさりと賛同され、少々物足りない気持ちだ。

もっと拗ねた顔を見たかったと思うが、素直なところが凛音の良いところでもある。

午前中、鍛錬で汗をながし、念のためハーン殿の診察を受けた。

月が満ち、龍神の力も俺の体力も回復しているためか、昨日までの不調が嘘のようだ。

ハーン殿から「油断をなさいますなよ」と釘を刺された。

明日からの視察も、ハーン殿は大層心配していると見えて「こまめに体調を記録しておきなされ」と真新しい日記を手渡された。

「これに、血圧、脈拍、体温、体の状態を朝晩しっかり記しなされ」

渋々頷き、凛音と共に市中へ出掛けた。