歯にモノ着せぬ物言いで小言を続ける。

「瑞樹、そのくらいで止めておけ。凛音には余から予め伝えておる。準備はできておろう」

自分の心の内も行動も全て父に見透かされ、先回りをされている気がした。

「葵、旅先では何が起こるかわからぬ。いざという時は三節棍の」

「存じております」

「へえ~、その三節棍には王族の証が仕込まれてあるのかい。便利だねえ」

「葵、多少羽目を外しても構わぬが、くれぐれも無茶をするでないぞ。良いな」

「……父上は心配性ですね」

言ってみたものの、やはり父上は秘薬を使用したことを知っているのだと確信した。

「それから、芸は身を助けるものだ。長旅になる。幸い、其方も凛音も楽師に着き一通りの楽器は演奏できるな」

「はい、苦手もありますが」

「1番得意とする楽器を持っていくがよい。瑞樹、其方もな」