「良かろう。凛音と紅蓮、それに祥を連れて行くがよい。凛音と紅蓮は護衛、祥は案内に役立つはずだ」

2つ返事の許可に唖然とした。

「ハーン殿にも話を通しておく。旅先で体調を崩すこともあろうからな」

「ありがとうございます」

1礼し退出しようとすると、母上の妹君瑞樹殿が入って来られた。

「葵、水くさいじゃないか。湯治に行くなら、あたしも是非お供したいね」

「情報が早いな。何処から聞きつけたんだ」

父上が眉間に皺を寄せる。

「湯治がメインではありませんよ、叔母上」

「名目は何だっていいさ。あんたのお守りをしてりゃいいんだろ。退屈しのぎには丁度いい」

「瑞樹、お気楽だな」

「大人が紅蓮1人じゃ心許ないだろう。それに父兄同伴だと思えばいいだろ」

叔母上の強引さには、いつも両陛下さえタジタジだ。