松葉杖を握り立ち上がって、体がふらついた。

「王子」

咄嗟に体を支えられ、つい「今宵は側にいてくれぬか」と零した。

凛音は俺の体を支えたまま、はにかみながら頬を紅く染めた。

部屋に戻り、強引にベッドへ入らされる。

「王子が望まれるなら、一晩中お側についております」

凛音は俺の額に手を当て、熱を確かめて言った。

「気分は悪くはないし、闘神祭の時のような倦怠感はない」

凛音は首を傾げて微笑む。

「白き龍神が姿を表し、語りかけてきた。身体の不調は預かり知らぬと……この身は陰陽の気が乱れておると告げられた」

凛音が布団の上から俺の足を擦る。

泣き出しそうに曇る表情に、凛音の手を取りギュッと握った。

「自ら招いた結果だ。後悔はしておらぬ……其方は笑った顔が1番だ。余の前では笑顔でおれ」

酷なことを言っていると思った。