喝と鋭く目を見開き、こちらを見据えた威厳に身体が硬直し動かない。

声さえも出せない。

頭の中で「浄化できぬ」と言われた言葉だけが木霊する。

──治らぬのか

白龍を見上げ、念じる

──判らぬ。其方の陰陽の気は乱れておる

白龍は残念だと言わんばかりに低く静かに告げ、白い光を放ち、俺の身体を貫き消えた。

「王子、王子」

いつから側にいたのか、凛音が俺の傍らで叫んでいた。

「凛音……」

「どうなさいました? 凄い光が見えた後、急に静かになられて、部屋に参りましたら王子がベランダで放心しておられて」

凛音の透き通った声が心地よく、身体の火照りで気が抜けていく。

「王子、熱が……夜風に当たるからですよ」

凛音はガウンを脱ぎ、俺の肩に掛けた。

「王子、寝所へ。立てますか」

言いながら、俺の腰に手を添える。