「ったく、何で熱を持つまで我慢してるんだ」
祥が後返り、俺の足に触れ苦々しく言ったかと思うと有無を言わずに、俺を背負って、松葉杖を凛音に渡した。
「下ろさぬか、自分で歩ける」
「いいじゃないか、無茶して脱臼したり折れたりしちゃ厄介だからね。暫く坂道が続くし、その間は大人しく負ぶさってりゃいいさ」
叔母上は言いながらクスクス笑っていた。
「あんた、また朝飯残してただろ」
祥は俺が少食なのが気に入らないらしい。
「祥。油断せず、辺りの気配に気をつけて──この辺りは山賊の被害が多発している」
紅蓮が凛音と叔母上に聞こえないように、そっと耳打ちをした。
「葵くん、いざという時は参戦できるね」
「当たり前だ」
木々が鬱蒼と茂り、昼間なのに薄暗くなり陽が当たらないせいか、若干肌寒い。
祥が後返り、俺の足に触れ苦々しく言ったかと思うと有無を言わずに、俺を背負って、松葉杖を凛音に渡した。
「下ろさぬか、自分で歩ける」
「いいじゃないか、無茶して脱臼したり折れたりしちゃ厄介だからね。暫く坂道が続くし、その間は大人しく負ぶさってりゃいいさ」
叔母上は言いながらクスクス笑っていた。
「あんた、また朝飯残してただろ」
祥は俺が少食なのが気に入らないらしい。
「祥。油断せず、辺りの気配に気をつけて──この辺りは山賊の被害が多発している」
紅蓮が凛音と叔母上に聞こえないように、そっと耳打ちをした。
「葵くん、いざという時は参戦できるね」
「当たり前だ」
木々が鬱蒼と茂り、昼間なのに薄暗くなり陽が当たらないせいか、若干肌寒い。