「落ち着きましたか?」
座っている(正確には強引に座らせた)男の人に訊ねる。
「はい、突然すいません…」
男の人は私が出したお茶を飲んでそう言った。
若い人だった。
同じ年か20代前半の人だと思う。
「それで…妹さんを探して下さいというのは…?」
「…妹が5年前に失踪したんです。警察に捜索願を出して探してもらいました。でも、手がかりが全くなくてお手上げだって言われました」
「それでなぜ、ここに…?」
「それで、困っていたらここの噂を聞いたんです。ここに来れば何か分かるかもしれない。でもここに来て進展があったら、妹が死んでるってことじゃないですか。しばらく悩みました。でも、どんな結果であろうと受け入れるって決めたんです。このままでいるよりずっとマシだって」