愛実さんが読んでいる間、沈黙が流れる。 「……っ……お兄ちゃん……」 愛実さんが涙を流し始めた。 そしてしばらくの間、愛実さんはずっと泣いていた。 「ごめんなさい、読み終わりました」 「…どうでしたか?」 「とても兄らしい手紙でした。兄は私のことをすごく可愛がってくれました。兄の私に対する気持ちが溢れていました」 那月さんの来た時の様子を思い出せば、愛実さんを大切にしていたことはすぐ分かった。