放課後の教室、中にいるのはわたしともう一人。
学年一とも学校一とも言われているイケメン、尾野真人。

宿題だった英語のプリントを教室に忘れたから取りにいくと、窓辺で外を眺めていた。

どうして違うクラスの尾野君がいるのかわからないけど、きっと友達と待ち合わせしているんだと思う。とりあえず挨拶だけしてさっさと帰ろう。

「こんにちは」

「ねえ、」

声をかけられてしまった。

「な、なんですか?」

少しびびる。そりゃ、こんな十人並な顔したわたしみたいなやつがさ、イケメンに声かけられたらしかたないよね。

「あの、その、」

どうしたんだ。いつもはハキハキ爽やかにしゃべる尾野君がどもってる。明日は雪が降るかな?

「あ、天宮さん、俺と、つ、付き合って下さい‼」

「?!」

あぁ、驚き過ぎて声が出ない。自慢じゃないが、人生で告白したこともされたこともない。あ、もしかして罰ゲーム?なのかな?

「返事は今すぐじゃなくてもいいから!」

そう言って逃げるように教室を出ていこうとした尾野君の服をつかんで、引き止めてしまったのはなぜだろう。

「いいよ、付き合おう」

こんなにあっさりと付き合おうって言ってしまったのはなぜだろう。



それはきっと、





彼の顔が真っ赤でとても可愛かったせい。