あの大会の日からなんとなく妹の様子がおかしい。

走るペースも速くなった。

私も追い付けない位に。

「蒼い、ちょっとペース落とそうよ、私ついてけないよ」

「そら、はマイペースで良いよ。私はもっと速くなりたい、もっと私の存在知ってほしいから。」

「待ってよ、誰に知って欲しいの?」

「そら。今度クラス 覗きに行っていい?」

「ん?何を?」

「だから・・・・」

妹がこんなにも恥ずかしそうにしたのはこの時が最初で最後。

「私、宏寿君に一目ボレした。」
「だから毎日そらのクラスに行く。」
「もっと私をアピールしなくちゃ」

「えっっ‼」
「宏寿に?」「うそ‼」

妹は姉の私からみても、可愛く愛嬌よしの人気者だった。
四年生ながらも上級生から告白や手紙を良く貰っていた。

妹からしたらまだ子供だったのか全く興味ない様子で、私も妹から「好きな男の子」の話も聞いたことなかった。


それが突然に、一目ボレした。なんて言葉を聞いたもんだから、私も信じられなかった。