テツが買ってきたお茶を飲みながら辺りを見回す。
テツはお化け屋敷の感想を嬉しそうに話してるけど、思い出したくもないから無視。
あたし達が来た時はここはだいぶ古くてお客さんも少なかったけど、今回のリニューアルで前よりもお客さんが増えてる。
このお客さんの中にはあたし達みたいに昔来たけどリニューアルしたのを聞いて懐かしくなって来たって人もいるんだろうな。
館内を一回りしたけどすごく懐かしくて楽しかった。
最後のお化け屋敷を除いては。
今日だけじゃなくてまた懐かしくなった時、テツと来れたらいいな。
なんて思いながら辺りを見ているとふとゆっくりと回る大きな円形に目が止まった。
「……観覧車?」
あんなの前もあったっけ?
あれば小さい頃絶対乗るはずなのに、乗った記憶がない。
「新しくなった記念につくったんだと」
いつの間にかあたしの呟きを聞いていたテツが、あたしと同じ方向を見て教えてくれた。
そうだったんだ。
最初来た時は水族館で頭がいっぱいだったから、観覧車なんて目に入らなかった。
「…最後に乗ってくか?」
「え、いいの?」
「いいも何も乗りたそーな顔してるぞ」
テツはテーブルに頬杖をつきながら向かいに座るあたしの頬に触れる。
あたしは迷わず頷いた。