約3時間後。
「…ハァ、ハァ……も、無理……」
あれから途中お昼を挟みながら水族館を一回りしてイルカショーを見てイルカショーの出口付近でテツが嬉しそうに見つけたのは、なんとお化け屋敷。
しかもそれは普通のお化け屋敷じゃなくて、人気ホラー映画『吸血島』とコラボのお化け屋敷。
リニューアルオープンの記念として期間限定でやっていた。
前にあたしの家で見たその映画がテツは大好きで。
テツ一人で行かせようとしたのに、「デートだろ?だったら二人で行くだろ」なんて意味不明なことを言って強制連行。
映画も無理矢理見させられたけど、その映画を嬉しくないことに忠実に再現させられていた。
まるで自分達が吸血島にやってきてしまったと錯覚してしまうほどに。
あぁ、なんでこの時期にデートに来てしまったんだろう。
てか春にお化け屋敷ってどうなの?
普通夏でしょ?夏だよね?
最後のお化け屋敷で叫びまくって疲れたあたしはこうしてカフェテラスのテーブルに顔をつけて休憩中。
「そんな怖かったか?楽しかっただろ?」
「……楽しくないことだけは事実」
お茶を買ってきてくれたテツの方を向く気力もなくて返事だけする。
あのお化け屋敷を楽しいと思えるのは世界中どこを探してもテツだけだと思う。