お母さんに押されるがままに外に出る。
「ごめんテツ遅くなっ……」
「…あ?」
呼吸が止まって苦しい、なんて考えられないほどテツに釘付けになってしまった。
Vネックのニットに黒のボンバージャケットを羽織り、ジーンズでテツの足の長さが強調されている。
そして胸元にはあたしがテツの誕生日にプレゼントしたネックレスが光っている。
テツ、かっこよすぎだよ。バカ。
テツを見て自然とあたしはテツからもらったピンクゴールドのネックレスを触る。
テツはあたしのところまで近付いてきて、あたしを上から下まで眺めてはニヤリと笑う。
「ゆるい服着てるとちっせーのが目立つな」
「なっ!失礼じゃない!?」
てかヘアバンドを引っ張るな!
こいつは人を褒めるということを知らないのか!
心の中で怒っていると、先を歩き出したテツに手を握られた。
「…ま、いーだろ?かわいいんだから」
「……っ」
やめてよ。
そうやって不意打ちで可愛いって言うの。
顔が体が熱くてテツの背中でさえ見れなくなっちゃうから。