"デートなんて別にいつも通りでいいんじゃない?"




未来にそうアドバイスをもらったけど……




「これで大丈夫かな!?変じゃないかな!?」




自分の部屋にある全身鏡の前で何周も回ってみる。




選んだのはピンクのニットワンピース。
なかなか着る機会がなくて奥にしまってあったのを掘り出してきた。




いつかテツとのデートで着られたら……




「なんて思ってないし!」




一人でノリつっこみをしていると、大きい足音をたてて階段を上がってくる鬼がいた。




「ちょっといつまで準備してんの!てっちゃん待ってるよ!」




間違えた。お母さんだった。
鬼のような形相でやってきたお母さんはあたしの背中を押して部屋から出す。




「ちょ、お母さん!これ大丈夫!?この服で大丈夫!?」


「あー、大丈夫!かわいいよかわいい!」




ファッションセンスのないお母さんにかわいいと言われてもしっくりこない。




こんなことなら麗さんとかに服の写真送って聞けばよかった。