「…んじゃ、行くか」
「そうだよね。テツは部活で忙しい……え?」
なんて言った?
行くか?行くかって言った?
「今週部活休みになったんだよ。
リフレッシュして、インハイに向けて猛練習するってことになっんだ」
テツの両腕があたしの肩の上に乗せられ、自然と距離が近くなる。
「行くだろ?付き合って一年目の初デート」
で、で、で、で、デート!?
「…へぇ、テツさんとデートすることになったんだ」
「そうなのそうなの!初だよ!初デート!」
「はいはい。よかったね」
今週末にテツとデートすることを喫茶店ラヴで未来に報告。
未来は相変わらずの塩対応。
でも嬉しさの方が増してるせいか、全然気にならない。
テツと付き合い始めて一年目で初デートだけど、あたしにとっては人生で初めてのデートでもあるわけで。
「デートってどうしたらいいのかよく分からなくてさ」
麗さんに電話したら「とりあえず勝負下着を買いな」と言われたから、先輩であるにも関わらず通話を切ってしまった。
あのまま通話を続けてたら絶対木嶋先輩との初デートのこととか話し出すに決まってる。