お母さんが去ってからあたしは雑誌を持ってテツの部屋へと侵入する。




相変わらず部活で忙しいテツとはあたしがテツの部屋で待ってることが多くなった。




他愛もない話をしては寝る頃に解散、そんな感じの毎日。




ほんとは部活に顔を出せればいいんだけど…
新しいマネージャーの林部さんがいるから…




マネージャーじゃない奴がいたら絶対不審がるに決まってる。




テツのベッドの上にうつ伏せで横たわり、お母さんが持ってきた雑誌komuraを眺める。




美味しそうなラーメン屋の特集や今話題の俳優さんのインタビューなどが載ってる。




駅前にできたスイーツ店の特集を見ていると、部屋のドアがゆっくりと開いた。




ドアの方を見れば待ちに待っていたテツが相変わらずの猫背で立っていた。




「…あ、おかえりテツ。
部活お疲れさま。疲れたでしょ?
あ、上着かして?」


「………」




ベッドから起きてテツが着てる上着を受け取ってその辺にあったハンガーにかける。




その一連の動作を部屋の出入り口から一歩も動かず見つめてくるテツ。