「高城くん、あたしのこと好きでしょ」

「好きだよ」


高城くんはあたしのことをチラッと横目で見て。
どういった雰囲気で答えればいいのか判断して。
さっきまでの飲み会ノリの延長で軽くこたえた。


「高城くんが社内恋愛しないのってなんで?」





***





異動して2、3ヶ月経った頃の飲み会。
年齢が同じということもあり、周囲がネタであたしと高城くんを夫婦にした。
高城くんもノリがいいため、あたしのことを『ヨメ』と言う。


「ほんとにつきあえば?」


いずれは出てくるだろうと思っていた言葉。
周りが囃し立てる。
そんな雰囲気のなか、高城くんはサラッと言った。


「社内恋愛しないんで」

「浪岡さんは?」

「…あたしも、社内恋愛はちょっと」


笑顔で答えた。
でも。
心の中では、高城くんに距離を取られたような…。
そんな気がしていた。




***




「んー…」

少しの間。
あたしは高城くんを横目で見る。


「別れたりしたら、何かと面倒だから」