中学校に入りたての五月。
教室には、あたたかい陽の光が差し込んでいる。
「今日から仮入部が始まります。先週渡した仮入部カードを朝のうちに教卓に出してください。ちなみに保護者のハンコ貰うの忘れた人は強制的に帰宅となります。」
担任が言うと、カードを忘れただの、親がハンコを押してくれなかっただの、教室はざわめく。
ちょうど朝学活終了のチャイムが鳴り、生徒は一斉に教卓に向かい、各々カードを出す。
私も、お世辞にもキレイとは言えない字で«高城 花»と書かれたカードを提出する。
私は、小学校からの親友である杏(あんず)に誘われて、演劇部に仮入部に行くことにした。
元々歌や表現は好きだったし、杏と共にアニメ声優にハマっていた事もあり、誘われたときは即OKした。
そして放課後。演劇部の部室である2年5組に向かう。
そこには既に杏、それから同じクラスの、えっと……鷹島君、だっけ…と、天然オーラが溢れまくりのズボン女子と、高身長の天パの黒縁メガネのライトノベルを真剣に読む男子が居た。
杏は私を見つけるなり、
「花ー!久し振りだね、クラス離れてからあんま会わないじゃん??」
朝一緒に登校したばかりだ。
小学校に比べれば会う機会は減ったけど、久し振りと言う程でもない。
「久し振りって…w まぁいいけどさw」
私は適当に答えた。
杏としばらくクラスの話をしていると、仮入部に来たであろう生徒も増え、廊下は賑わってきた。
午後2時45分頃、先輩方の誘導で部室内に入る。
すぐに男女分かれてジャージに着替え、仮入部員も含め、部員全員で大きな円を描く様に座る。
何となく辺りを見回していると、さっきの天パ黒縁メガネのラノベ男が目に止まった。あまりにも、«演劇»という響きがしっくり来ない。なんで演劇部選んだんだろう…?
午後4時半頃。仮入部員の下校時刻を知らせる放送が流れる。私たち仮入部員は手早に制服に着替え、荷物をまとめ、下駄箱へと向かう。
私が校門を出ると、杏が待っていてくれた。
「お待たせ。帰ろっか。」
と言って、2人で学校の横の坂を下る。
杏は楽しんだようでご機嫌だった。
「めっちゃ楽しかったぁー!てかさぁ、3年の先輩イケメン多くない?逆ハーレムなんだけど!w」
かなりテンション高めで、早口すぎて聞きとるのが精一杯だった。
「そうだったっけ?そんなよく見てないわw」
「はぁー??もったいなっ!マジイケメン部www」
「えっそんなにwww」
ぶっちゃけ、興味なかった。
私が関心を持ったのは、部活動の稽古内容、先輩方の演技。それからあのラノベ男の姿が頭に残っていた。
「…ねぇ杏。お前の正面に座ってた天パの眼鏡どう思う?」
「えっ?!もしかして花ああいうのタイプ?!マジで言ってんの?www」
「そんな事言ってねーじゃんwww」
本当にそんな事ない。
タイプもなにも、恋愛感情なんて持ったことないし、全く無縁だ。性格男っぽいし声や顔が可愛い訳でもないしおしゃれでもない。
そんなの、これからも無縁で構わない。
って、思ってたのに……ねぇ。
教室には、あたたかい陽の光が差し込んでいる。
「今日から仮入部が始まります。先週渡した仮入部カードを朝のうちに教卓に出してください。ちなみに保護者のハンコ貰うの忘れた人は強制的に帰宅となります。」
担任が言うと、カードを忘れただの、親がハンコを押してくれなかっただの、教室はざわめく。
ちょうど朝学活終了のチャイムが鳴り、生徒は一斉に教卓に向かい、各々カードを出す。
私も、お世辞にもキレイとは言えない字で«高城 花»と書かれたカードを提出する。
私は、小学校からの親友である杏(あんず)に誘われて、演劇部に仮入部に行くことにした。
元々歌や表現は好きだったし、杏と共にアニメ声優にハマっていた事もあり、誘われたときは即OKした。
そして放課後。演劇部の部室である2年5組に向かう。
そこには既に杏、それから同じクラスの、えっと……鷹島君、だっけ…と、天然オーラが溢れまくりのズボン女子と、高身長の天パの黒縁メガネのライトノベルを真剣に読む男子が居た。
杏は私を見つけるなり、
「花ー!久し振りだね、クラス離れてからあんま会わないじゃん??」
朝一緒に登校したばかりだ。
小学校に比べれば会う機会は減ったけど、久し振りと言う程でもない。
「久し振りって…w まぁいいけどさw」
私は適当に答えた。
杏としばらくクラスの話をしていると、仮入部に来たであろう生徒も増え、廊下は賑わってきた。
午後2時45分頃、先輩方の誘導で部室内に入る。
すぐに男女分かれてジャージに着替え、仮入部員も含め、部員全員で大きな円を描く様に座る。
何となく辺りを見回していると、さっきの天パ黒縁メガネのラノベ男が目に止まった。あまりにも、«演劇»という響きがしっくり来ない。なんで演劇部選んだんだろう…?
午後4時半頃。仮入部員の下校時刻を知らせる放送が流れる。私たち仮入部員は手早に制服に着替え、荷物をまとめ、下駄箱へと向かう。
私が校門を出ると、杏が待っていてくれた。
「お待たせ。帰ろっか。」
と言って、2人で学校の横の坂を下る。
杏は楽しんだようでご機嫌だった。
「めっちゃ楽しかったぁー!てかさぁ、3年の先輩イケメン多くない?逆ハーレムなんだけど!w」
かなりテンション高めで、早口すぎて聞きとるのが精一杯だった。
「そうだったっけ?そんなよく見てないわw」
「はぁー??もったいなっ!マジイケメン部www」
「えっそんなにwww」
ぶっちゃけ、興味なかった。
私が関心を持ったのは、部活動の稽古内容、先輩方の演技。それからあのラノベ男の姿が頭に残っていた。
「…ねぇ杏。お前の正面に座ってた天パの眼鏡どう思う?」
「えっ?!もしかして花ああいうのタイプ?!マジで言ってんの?www」
「そんな事言ってねーじゃんwww」
本当にそんな事ない。
タイプもなにも、恋愛感情なんて持ったことないし、全く無縁だ。性格男っぽいし声や顔が可愛い訳でもないしおしゃれでもない。
そんなの、これからも無縁で構わない。
って、思ってたのに……ねぇ。