冷蔵庫の中にあった適当な材料で昼御飯を作り、テーブルの真ん中に置いたそれを4人で食べながらも時計を見上げればもうお昼の11時に差し掛かっていた。
さすがに隼人くんを起こした方がいいんじゃないだろうか。
「ねえ?隼人くん起こしに行かないの?」
お味噌汁が入ったお椀を持ち上げながらも3人に問いかけてみる。あたしの隣に腰掛けていた優はお箸を取り落とす、カランカラン。向かいに腰掛けていた双子は揃いも揃ってお椀のお味噌汁をビクリと肩を上げた瞬間に零していた。何なんだその反応。
明らかにおかしい態度を取ったくせに素知らぬ表情を決め込む3人はいそいそと落とした箸を拾い、洗いに行き、零したお味噌汁を無言のまま拭き取る。そしてまた何事も無かったようにーーーちょっと待て。
「今の態度は何なんだ君たち」
「え?何かおかしかったか?なあ兄貴」
「ねえー、全く何も変わった様子なんて無かっただろうがー」
「愛理ちゃん、早く飯食べんと冷めるで?」
「いやいや待て待て明らかにおかしいぞ」
あたしは騙されんぞ、ごくごくと残りのお味噌汁を流し込んでから空っぽになったお椀をテーブルに置き、指摘するようにそれぞれを指さした。間髪入れずに「他人を指さしちゃいけませんよー」空に言われたが今は無視だ。
「寝起きが悪いって言ってたあれの事?そうなの?」
「隼人は低血圧だから朝はすげえ機嫌が悪いんだよ。」
「でも、もうこんな時間だし、朝ご飯どころかお昼ご飯の時間まで終わっちゃうじゃないか」
「お姉さんは知らねえからそんな事が言えんだよ。言っておくがありゃ二重人格だぞ」
空がズルズルとお味噌汁をすすりながらも眉根を寄せる。何を思い出したのか、何となく顔色が悪く見えた。そ、そこまで?あたしの頭に浮かぶ隼人くんは「愛愛―!」笑顔で手を振るあの姿だけ。二重人格ってどれほど違うんだ。