空の指先がツツツー、あたしの首筋をなぞる。ビクリ、肩を震わせてあたしは「そんなわけないだろ!」空をドンと突き飛ばした。
「そ、そんな事ならお安いごようだ」
「お前の馬鹿みてえに笑ってる顔見ると、俺達も気が抜けるんだよな。良い意味で」
「それって褒めてます?」
「褒めてますよ?」
そうなのかな、馬鹿にされたようにしか聞こえなかったけど。
口を曲げるあたしの頭を空がトントンと軽く叩き、手を離す。何故だか頼んだぞ、そう言われた気がしてあたしは肩をすくめてにぃーっ、だらしない笑顔を向けてやると空は暫く押し黙ると。
「そうそれ」
珍しく優しい笑顔で微笑んで見せた。
そのまま何事も無かったようにリビングへと先に入ってしまう。取り残されたあたしは珍しい空の優しい笑顔に放心状態。
しまった、写メ撮ってやれば良かった。