「そうそう。っで?俺らの仲間やったのって誰なんだ?教えてくれよお兄さん」



銀髪は顔が当たるくらいに悲鳴を上げる男へと顔を近づけ、自分の口端を意地悪く持ち上げ問う。




その意地悪さの中に妖艶さが含まれたような表情に見えて一瞬視線が逸らせなくなる。



言い方は二人ともふざけているみたいだけどさっきとはまったく違う顔。笑ってるけど笑ってない。それが酷く不気味に見えた。



それを見てあたしの中で警告音が鳴り響く。逃げなきゃっ、そう思うのに足が動かない。



「し、知らねえっ!!本当に知らねえんだ!俺は下っぱだから上がやってる事全て分かってるわけじゃねえんだよっ」




冷や汗を流しながら訴えかける男はますます顔色が悪く見える。




「はあ?めんどくせえ。やっぱ下じゃなくて上あたるしかねえな」


「だな、けど上がでてこねえから下に片っ端から聞くしかねえだろー。って優が言ってたんだけどね」


「こんな地味作業は俺の性に合わねえよ。めんどくせえな。こんな事してるうちにまた仲間がやられてっかもしれねえのに」


「それは優に言えよ。」


「っでこいつどうするよ」



掴んでいた髪をパっと離し目の前の男を冷たく見据える金髪。掴まれていた手が離れると男は落ちるようにして地面へと倒れ込んだ。




ドシャリと鈍い音をたて地面に転がり体を震わせた男が惨めに見える。まるでこれから起こる恐怖を既に知っているみたい。



「まあーやっちゃっていいんじゃねえの?」


「だよな。優は甘えんだよ。敵に情けなんてかける必要ねえわ」




そう言って指の関節をバキバキと鳴らしながらも金髪が振り上げた拳を男に何の躊躇も無く振り落とした。